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〈現代アンプ私論②〉 「便利版と1.5倍版」

ステレオレコードはモノーラルレコードの進化版というには無理があります。
レコード盤面の一本の溝二つの面それぞれに二つの音楽振動を刻み込んだものです。
SPレコード盤時代に考案された古いアイデアをLPレコード時代に実用化したものは一つの箱に仕切りを入れて分けて片方だけでも取り出せるようにした便利版のようなものです。

児童公園のブランコのように一つの支柱ベースに二人分の踏み板とチェーンを取り付けたようなもののため、一つが動くともう片方に振動感触が伝わる構造になっています。
クロストークと呼ばれるこの現象はレコード盤面にある物理的な制約であり、逃れられないものでした。

アナログ信号をデジタルデータに置き変えたCDディスクはステレオレコードの盤面が抱えていた物理的な制約を解き放ってくれました。
しかし左右信号の分離が進んだことで新たな問題が露わになってきました。

アナログのレコードカートリッジやテープデッキヘッドはまがりなりにも左右チャンネルが分離されていました。
各チャンネルの音楽信号を拾い上げていましたが、CDプレーヤーの出力は左右チャンネルの信号が分離されたにもかかわらずグラウンドが共有となったがためにアナログレコードにはなかった不都合が露わになってしまいました。
ステレオレコードがモノーラルの便利版であるなら、さしずめCDは信号とグラウンド一組のモノーラルにもう一つ信号を足したモノーラルの1.5倍版なのです。

扱いが簡単で車でもかけられるCDは瞬く間にアナログレコードにとって替わりましたが、音楽再生に必須である「左右アースの分離」ができないために音質的に納得のいかないアナログ回帰派とCD擁護派に分かれて音質云々を述べあうことがよく見られました。

アナログ回帰派はCD化に伴う標本化(44.1kHzサンプリング)と量子化(16ビット)により20kHzから先の高周波音楽信号が切り落としたように無く、それ以下の信号も65.536段に丸められてしまい、より細かな微細な表現が出来ないCDでは良い音が出ないと断言して、アナログレコードでなければ音楽は鳴らないとしました。
CD擁護派は実際のレコード盤には20kHzも刻まれていないことや、ダイナミックレンジが狭いためにリアルな音はレコードからは出ないと主張して、より高規格スペックになればデジタル音源の真価が発揮されるという幻想を抱いていました。

どちらもアナログレコードが抱えている信号干渉とCDプレーヤーが抱えているグラウンド干渉歪みという音楽に深い関係を持つ項目をまったく抜きにして騒いでいるのでした。

アナログレコードの良さは左右信号の不可分さによるグラウンド干渉歪みの非顕在化ゆえの耳障りの良さであり、デジタル音源で顕在化したグラウンド干渉歪みによる耳当たりの悪さの解決をハイスペックデジタル規格への幻想で補おうとする動きは共に現在存在しているグラウンドの問題を避けている点でまったく同じです。

デジタル音源のハイスペック化はすでに始まっていますが、ハイビット、ハイサンプリングを良しとするようなワンベクトル指向のものはどの分野であろうと途中で空回りするものです。
拙にはどんなスペックが最適なのかは分かりかねますが、少なくとも65.536段が16.777.216段や4.294.967.296段にまで細分化されても鼓膜というローパスフィルターが人の耳に存在していることや、48kHzや96kHzの超音波域は聴こえないことを考えると「無いものを売りつける」ある種のビジネスとの相関を感じたりしております。

左右アースを分離したデュアルコアD/Aコンバータによるアナログ復調だけが本物のステレオ再現であり、デジタル音源の真価が表現できることを記して次項に続けます。

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