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〈現代アンプ私論①〉 「真空管とトランジスター」

その昔、大衆娯楽と政治プロパガンダの道具としてラジオとトーキー映画はなくてはならないものでした。

真空管はその立役者として大活躍した電子素子の祖です。
送受信機の心臓部として発達してきた真空管は当時米国の国策となっていた映画産業拡充のためより大出力アンプが求められ、呼応するスピーカーは高能率化が求められました。

一方もっと昔からSPレコードを鳴らしていた蓄音機は真空管の登場により電気蓄音機にその役を奪われ、演奏時間の長いLPレコードの登場によりSPレコードと共に一時代前のものになっていきました。

盤面に切り込まれた音溝から物理的に音を拾い出してメガホン構造で拡声していた蓄音機に替わって、針先が拾い上げた音溝の振動を電気信号に変換し、増幅してからスピーカーで聴く電気蓄音機はやがて音溝に小さな工夫をして二つの音楽信号を刻み込むステレオレコードが発明されるとステレオ電気蓄音機となっていきました。
(電気蓄音機と呼んでしまうと古いもののようですが、オーディオという呼び名も昭和2年発行された雑誌の復刻版に「オージオアンプリフアイヤー」との語彙があります。)

ステレオレコードが普及する頃には増幅器の主流は真空管からより小さく、壊れにくい新しい電子素子トランジスターに変わりました。
トランジスターアンプの音質が真空管アンプの音質を凌駕するものであればモノーラルレコードと共に真空管アンプも過去のものになったかもしれませんが、製造コストとスペースファクターの優位性しかなかったために真空管アンプは途切れることなく続きました。

トランジスターアンプはコストとスペースファクターに優れていましたが、音質で支持された訳ではありませんでした。
軽くて小さく寿命の長い新しい素子に国内メーカーがこぞって参加する頃にはFM放送やカセットテープデッキが音源に加わりオーディオはブームになりましたが、音質的な向上を果たせなかったことから退潮が始まったことは残念に思っています。

一方真空管の国内生産は終了していましたが、東西冷戦時代が終わるとロシアや東欧、中国から新品の真空管が国内に入って来るようになりました。

現在も真空管は生産されていますが、電子素子ではあるものの、その仕組みは機械的な作り込みによって構成されているという点で今も他に置き換えられるものがないのです。

半導体を使わずに金属と絶縁体の組み合わせだけで電圧増幅をするという仕組みが奏でる音調はトランジスターでは得られないものになっています。
真空中に放出した電子を制御する電極そのものが音質を左右するために同一規格でありながら「音色」の異なるものが存在しますが、趣味での楽しみを広げる意味で肯定的に捉えて良いと思っています。

現在生産されている真空管はオーディオ用途がほとんどであるため電極の持つ「音色」まで追求されているとの案内を読むと産業用に生産されている半導体との音質差は広がるばかりかも知れません。
MOSFETアンプを試作した折にオーディオに使える素子が初期のものに限られたことからこの先も半導体で音質の良いものは数少ないのではないかと感じております。

拙論ではございますが、<現代アンプ私論>にお付き合いください。

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