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真空管アンプのグラウンド

グラウンドのワンポイント化はノイズの混入を避けるだけでなく各増幅段のグラウンド同士の干渉を避けることにつながるため音楽表現が高まるのでございます。
真空管アンプでは自作アンプからブランドになったメーカーまでがアース母線式配線やアンプ筐体をアースと見なして真空管ソケットやトランス取り付けネジ部を流用して実装部品のグラウンド端をシャシーに落とすマルチポイントアースを採用しております。
アース母線式配線もマルチポイントアースもアース=グラウンドは0V、0Ωであるというお題目に基づいた手法であるため現実的には実装されたコンデンサーや抵抗器のグラウンド端にあるリード線や配線材の抵抗分による信号=グラウンド信号が発生します。
これらのグラウンド信号が直接電源グラウンド=グラウンドポイントに戻れば自然な音質となりますが、アース母線式配線やマルチポイントアースではグラウンド端同士が互いに影響を与え合いながらグラウンドポイントに戻ることになります。

三極管ではグリッドに入力された信号のグリッド抵抗器のグラウンド端と動作バイアスを与えるカソード抵抗器のグラウンド端にグラウンド信号が発生します。
電圧のかかるプレートにはグラウンドポイントの支店のようなパスコンがあり電源ラインに乗ったノイズを吸収する働きを担っておりますがグラウンド端では誘電体の先が電源ラインであるため去来するグラウンド信号を収斂する働きは期待できません。
単管動作においてもそれぞれのグラウンド端を介したグラウンド信号の絡み合いがある上に初段、ドライブ段、出力段という増幅回路に加えて電源の整流平滑回路のグラウンド端が絡みあっている真空管アンプではすべてのグラウンド端をダイレクトにグラウンドポイントに戻さなければ互いに干渉しあって特有の癖を持つことになります。

もっとも「特有の癖」によるフォーカスの合わない音は人によっては不自然な響きを齎すものの人によっては「夜目遠目傘の内」という言葉があるようにぼんやりしているが故に美しく見えたりするのがオーディオの趣味としての拡がりでもあるのでございます。
実はグラウンドのワンポイント化と放射状サーキットパターンを実現している真空管アンプは極少数であるためほとんど聴き比べる機会が無いあたりを拙の怠慢とされると謝るしかないのでございます。

HD真空管パワーアンプ

スピーカーケーブルの抵抗分より低い内部インピーダンスは余り意味がないとは言ってはみたものの真空管パワーアンプではダンピングファクター10でも0.8Ωとなりケーブルの持つ抵抗値分でのマスキングを期待するにはまだ高い内部インピーダンスです。
三極管は内部インピーダンスが低いとされていますのでダンピングファクターが良くなりそうですが、五極管に比べれば低いというレベルですので一桁台が関の山です。
効率のよい五極管は増幅率が高く多めのフィードバックを掛けることが出来ますが、内部インピーダンスが高いためやはり一桁台になってしまいます。
ですのでダンピングファクターなどは一桁あればよいとなっているのかも知れません。
無帰還の直熱三極管アンプがもてはやされるのは負帰還を掛けた特性の良化より「無帰還」という看板の方が魅力的だと見切った方に文字で説得されたのだと斜に見ながら低い出力インピーダンスの真空管パワーアンプを考えておるのでございます。
一番先に浮かぶのはアンプの裸ゲインを稼いで大量の負帰還をかける方法です。
高負帰還真空管パワーアンプの代表に挙げられるのが「ウイリアムソンアンプ」ですが、有名な割には製品化されたものではないらしくまともに動かないアンプの代表みたいなものでありながら名前が語り継がれていることから、イソップ物語の「すっぱい葡萄」のように決め付けありきの評価となったのかも知れません。
上手く行かなかったアンプからは音が出ませんのでそういった論調に至ったに過ぎないとも考えなくてはいけないなと思うのです。
その手の話しは高能率のスピーカーでなくてはロスが多くて微妙なニュアンスが表現できないという論調に似ているように思います。
家庭用のスピーカーの10倍も効率が高い拡声器系由来のスピーカーは大きな音が出ますが、概して口径の大きな薄い振動板を採用しております。
口径が大きく振動板が薄いスピーカーは分割振動を起こし易く分割振動の共振レベルを上手く上げて測定上の数値を押し上げているように思うのです。
無論共振は神経を逆撫でするものもあれば得もいわれぬ「美音」を奏でることもありますので拡声器由来のスピーカーを否定しているわけではございません。
ただエネルギー不変の法則がある以上1入れて10出るのはどこかが1/10に減っていなくては計算が合わないと感じておるのでございます。
話を高負帰還アンプに戻しますと半導体アンプでは真空管には無いPチャンネル素子があり直結回路でゲインを稼いでおいてフラット特性になるように大きな負帰還を掛けることができますが、真空管パワーアンプでゲインを稼ぐためにはコンデンサー結合の増幅段数を増やした上にスピーカーインピーダンスとの整合のために出力トランスを介在させますから位相が一方向に回り続けてしまい一筋縄では行かないのが現状です。

HD真空管アンプはゲインを稼いで負帰還を掛ける手法ではなくインピーダンス変換回路である真空管ボルテージフォロワ回路を世界で初めて実用化したものです。
第一弾となるモノーラルフルバランス真空管SCPPパワーアンプ「MODEL12M HD」は一聴しただけでこれまでの真空管アンプや半導体アンプとの違いを感じていただけるものとなっておるのでございます。
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