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プッシュプルトランスダンパー

真空管パワーアンプにはシングルアンプとプッシュプルアンプがあります。
一般的には小出力ながら音のよいシングルアンプ、迫力があり高出力でもあるプッシュプルアンプといわれております。
電源電圧が同じであればプッシュプルアンプの方が高い出力が得られますので世の中にはプッシュプルアンプの方が数多いように思います。
「大は小を兼ねる」などと云う言葉があるくらいですからプッシュプルに分があるように思われ勝ちですが、一本の出力管で入力波形に応じた出力波形を担うシングルアンプの方が繊細な表現となります。

プッシュプルアンプは二本の出力管をシーソーを動かすようにして出力値を上げますので出力管への入力波形を正相のものと逆相にした波形のものをそれぞれに入力する必要があります。
プッシュプル出力トランスで波形合成させるわけですので正相信号と逆相信号を作る位相反転回路が重要となりますので、専門誌では様々な位相反転回路を用いた製作記事や回路の解説が載っております。

プッシュプルの出力トランス一次側は電源供給端子を挟んだ両端にプレート端子が二つありますので一方に信号を入れるともう一方にはその信号の逆相信号が現れます。
逆相信号を加えなくても現れる端子に出力管の逆相信号を入れるわけですから微妙に違うものが重なることになります。
画像であればぼけたり輪郭が滲むことになりますが、音楽信号では干渉による打ち消しが起こり繊細さが失われてしまいます。
逆相信号側から見ればトランスで作られた正相信号に正相出力管からのよく似た信号が重さなるだけでなく正相出力管の作る信号に此方側が影響されるという由々しき事態となるわけです。
位相反転回路でシーソーのように上下が反対になった信号を2本の出力管に送ることで出力トランスでのシーソー動作に因る干渉を強いられるプッシュプルアンプが繊細な表現とならないのは自明の理なのです。

「MODEL77」カバーオフ縮小20161222

こういった事情もありテクノではシングルアンプを作り続けておりましたが、理屈と現実の音質との乖離はグラウンドの理解に通じる概念と似ていると思い浮かべると解決策が見つかりました。
電位差の出るグラウンドを零電位と見なして「オーディオ」らしい音質に甘んじていたアンプをグラウンドノイズスプリッターを用いて不自然さを解消したように位相反転段とプッシュプル出力トランスの動作による干渉を避ければシングルアンプと同じ繊細な音質とプッシュプルアンプの高出力が得られるのです。

位相反転段のシーソー動作を軸にするため「MODEL77」は一本の真空管で正相と逆相の出力信号が正確に得られるプレート/カソード分割回路を採用しております。
出力トランスのシーソー動作による干渉を避けるためのアイデアはグラウンドノイズについての実験と考察からプッシュプルトランスダンパーにたどり着きました。

「MJ無線と実験」誌 MJ ZOOM UPに掲載された井上千岳先生、小林 貢先生の評価はプッシュプルトランスダンパーのおかげだと納得しているのでございます。
(プッシュプルトランスダンパーはMJ誌2017年1月号36ページに写っております)
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歪み率

真空管アンプ作りに携わっていると半導体アンプ並みには歪み率は下がらずダンピングファクター値が上がらないことに真空管の持つ素性を感じます。
音質からはそう言った素性は聴こえませんので測ることの意味がどこにあるのかとも感じます。
人柄を知ろうとしてその方の体重や身長を測っているようなものではないかといつも疑問が湧くのです。

数値といえば学校でのテストは100点満点でした。
満点の奴もいれば拙のように低い点数の奴もいましたが、もっと下の零点となると1に限りなく近かろうが0に限りなく近かろうが零点は零点なのでした。

真空管アンプも半導体アンプも聴くに支障が無い歪み率なら零点でよいのではないのかと思うのでございます。
確かに10%くらい歪むと耳障りですし歪みの無い方がよいとはなりますが、0.1%と0.01%の歪みを音質の好みを抜きに聴き分けても「人間測定器」自慢大会でもあれば別ですが、音楽を楽しむにはまったく意味をなさないように思って測定器のスイッチを落とすのでございます。
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