デュアルモノーラルフルバランス真空管プリアンプ「MODEL11Ⅱ」徒然②


出力値を稼ぐためにシングル出力トランス2個をバランス動作させることでは限界があるためプッシュプル出力トランス1個に換装して出力アップを図ることにしました。
プッシュプル回路としたオシロ波形はシングルではつぶれるレベルを超えても綺麗なサイン波を表示します。
直結自己バイアス回路による電源ロスがありながらも25Wを越える波形画面を見るとリリースしたい衝動に駆られますが、残念なことに「MODEL57」、「MODEL51」のシングルアンプの良さを失った所謂真空管プッシュプルアンプであることが一聴してわかります。

「MODEL52」はバランスシングルアンプの音質を取るかプッシュプルアンプの出力値を取るかの二者択一を迫られました。
音を直接聴いて頂けない雑誌テキストでは出力14Wより25Wの方が分かりやすく読者の購買意欲に応えられるように思いましたがリリースする側の姿勢としてその判断はしませんでした。
と云うより物事を逡巡するとその堂々巡りから逃れるため第三の道を見つける癖があるのでシングルアンプの音質のまま高出力を得るべく一つのトランスコアにシングルアンプの巻き線二つを巻いて出力を重ねるアイデアが浮かびました。
信号レベルはトランス2個使いの時と全く同じですがバイアス値を深めにすると補い合って出力を稼げる可能性があると踏みました。

「MODEL51」のライン出力トランスを巻いて頂いたトランスメーカーさんにまたも試作をお願いしました。
プッシュプル出力トランスの強制的なシーソー動作ではなくシングルアンプの出力を重ねて出力アップを図るアイデアの出力トランスが届くと不安と期待の入り混じった動作確認をしました。
バランスシングルアンプ回路の約5割増の20Wが得られ、シングルアンプの精緻な音質のままプッシュプルアンプの出力が得られる真空管パワーアンプ回路をシングルクロスプッシュプル=SCPPと名付けました。

デュアルモノーラルフルバランス真空管プリアンプ「MODEL11Ⅱ」徒然①

「MODEL11Ⅱ」のアイデアはデュアルモノーラル真空管プリアンプ「MODEL51」をデュアルモノーラル真空管プリメインアンプ「MODEL57」をベースに製作したことから生まれました。
フルバランスプリアンプの源流がプリメインアンプでは有難みが無いようですが、「MODEL11Ⅱ」を説明するには「MODEL57」からはじめないと突然変異のようになってしまいます。

シングルアンプとしては群を抜く高評価を得た「MODEL57」の音質を保った真空管プリアンプをまず計画したのです。
「MODEL57」のスピーカー駆動用の出力トランスをバランスライン出力トランスに換装するアイデアが浮かび取引先のトランスメーカーさんに相談しました。
600Ω負荷でありスピーカーと比べると小出力なので小型のライン出力トランスが届くものと思っておりましたが、届いたものはスピーカー駆動の「MODEL57」の出力トランスと同一コアサイズの大きなものでした 。

まずは聴かなくては前へ進みません。
「MODEL51」試作アンプを組み上げてパワーアンプに送ることにします。
まだバランス入力を備えた「MODEL52」も完成しておらずとりあえず2台用意した「MODEL57」のL/Rチャンネル入力に「MODEL51」のXLR出力をHOT/COLDのRCA端子変換ケーブルで入力しました。
出力は「MODEL57」のスピーカー端子L側にスピーカーの+側を、R側にスピーカーの-側をつなぎます。

「MODEL57」の音質の良さを保ったまま更にダイナミックな音楽表現を堪能しました。
「MODEL57」の2倍の14W出力ですが、単に倍出力と云うだけではなく質感にステレオ使いでは得られないリアルさがあります。
しかしシングルアンプの2倍というバランスシングルドライブアンプの理論値通りの数値では真空管パワーアンプ単品コンポーネントとしてはやや物足りないので無い頭をひねることにしました。
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