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「MODEL45XLR」試作機

「MODEL51」のリリースに当たってデュアルコアD/AコンバータのXLR出力バージョンの「MODEL45XLR」を試作しました。
「MODEL45」の試作機には真空管ハイブリッドアンプ出力の「MODEL45T」(T=tube)もありますが、「MODEL51」で聴く分には「45XLR」の方に分があります。
グラウンドノイズから解放されるために音質向上が認められます。

グラウンドノイズそのものは直接聴くことは出来ませんが、グラウンドノイズ混じりの音はいかにもオーディオ的なサウンドになっていることで容易に識別できます。

デュアルコアD/Aコンバータやデュアルモノーラルアンプの音質は音楽とサウンドの違いが分かる方には一聴されただけでその素晴らしさに気づいていただけますが、その二つを取り違えている方も沢山おられます。

こんな時は高田渡氏の「泣くなんて小さな事、溜め息つくなんてつまらない事。だけどその大きさを取り替え取り替えして男も女も死んでゆく」という歌詞が浮かぶのです。
F氏の尽力もありアル中から立ち直られた渡氏も主治医であったF氏ももう鬼籍に入られてしまい時の移ろいを感じます。
それゆえに今を一番良い音で音楽を楽しんで頂きたいと思って作っているのです。


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「MODEL51」開発記

MODEL51正面

プリアンプと言うものは難しいものだと思います。
プリアンプに癖があると更にパワーアンプで増幅されてしまうため一筋縄に行かないのです。
癖などと言うと悪いイメージがしますが、癖の無い無色透明な音調がスピーカーから出てしまうと退屈で生気の無いものになってしまいます。
国産オーディオ機器の多くが優等生的な癖のなさを良しとしていますが、味の無い料理のようなものは美味しくないと感じます。
癖自体を排除すると悪い部分が無い分良さも無くなってしまうので、良い部分は残さないといけないと思うのです。

デュアルモノーラル真空管プリアンプ「MODEL51」は一見プリメインアンプ「MODEL57」とそっくりですのでパワーアンプ「MODEL52」より先に出来たように思われるかもしれませんが、「MODEL52」がバランス動作によるシングルクロスプッシュプル=SCPPアンプに固まってきてから作り上げたものです。

「MODEL52」はバランス入力で真価を発揮する事から、プリアンプ「MODEL51」にはバランス出力を装備することにしました。

半導体アンプであれば専用ICもありますし、OPアンプでも組めますが、真空管プリアンプでシンプルな構成を取るとなるとバランスアウトプットトランスしかありません。
「MODEL57」に搭載したトランスメーカーさんにバランスアウトライントランスの相談をしたところ試作してみましょうとの返事を頂いたことで一気に新しい真空管プリアンプアンプの構想が具現化しました。
ただ届いたトランスのコアサイズが「MODEL57」の出力トランスと同サイズであったのには少し驚きましたが、良いものをとの依頼に応えていただいた結果ですので搭載して動作と音質をつめていきました。

「MODEL51」はモジュールの構造的良さに助けられてリアルな音調を持っています。
アンプ回路と電源回路を表裏一体で実装することで得られる音調は今までのアース母線式真空管アンプとは別世界のものです。
真空管アンプと聞かれると懐古趣味のように思われる方もおられますが、電子素子として現在も生産されており回路や実装方法も進化しています。
真空管プリアンプに良い印象を持たれなかった方にこそお聴き願いたいと思っております。

「MODEL57」は操作時に指先がパネルに触れることを避けるためスカート付きのノブを採用しましたが、今回はノブの突端部で操作できるマークレビンソン風デザインのものにしました。
かなり印象が変わることからもアンプの意匠は大切であると思っております。


「MODEL52」開発記

MODEL52正面


テクノクラフトオーディオデザインの真空管パワーアンプにはシングルエンドプッシュプル=SEPPアンプ「MODEL12」と「MODEL57」に採用したシングルアンプしかありませんでした。

市販されている真空管パワーアンプの多くが真空管ダブルエンドプッシュプル=DEPPアンプであり、出力管のバリエーションで商品展開を図る真空管アンプビジネスモデルに則っている中で真空管プッシュプルアンプをリリースしなかったのは音質的にまったく納得できるものに仕上がらなかったためです。

大出力真空管アンプと言えばプッシュプルアンプと言うのが常識ですが、DEPP回路には欠陥があるように思います。
どれほど試作を繰り返しても「MODEL12」との音質差が埋まりません。
出力トランスの中点に電圧を掛けて二本の出力管にシーソーのような動作をさせるDEPPはどうにも微細なニュアンスに欠ける音調になってしまいます。
繊細な表現よりも力感に頼っている感じが拭えず、どう贔屓目にみても我慢できるレベルのものにしかならないのです。
DEPPの出自はトーキー映画や屋外拡声装置であり、大容量コンデンサーの無かった時代に高出力とハム音打ち消しを旨として開発されたものです。
ためにハム音だけでなく音楽信号の微妙なニュアンスの打ち消しを伴っているのです。

開発目的に沿ったものと考えれば当然の帰結ですが、家庭にプッシュプルアンプを持ち込んでおられる方が多いのも事実です。
そこでDEPPアンプの改良策を止めてアンプ部と電源部を一体化して音質を確保した回路「MODEL5X」モジュール2機を巧みに組み合わてプッシュプル出力並みのパワーが得られるシングルクロスプッシュプル=SCPP回路の開発に至りました。
このアイデアが出るまでの閉塞感はしばらく忘れられないほどのレベルに達していました。
諦めていれば「MODEL52」は完成しなかったのです。

シングルアンプの音質がプッシュプルアンプ並に得られるSCPPアンプは新しい真空管オーディオを切り開きます。

出力トランスの試作やトップカバーデザインの変更などに加え、当初納品された板金の寸法が図面と板厚分違っていたりして予定よりひと月半リリースが遅れてしまいましたがやっと完成しました。

是非ご試聴ください。

空間描写と生々しい音質はこれまでのオーディオアンプでは手に入らなかったものです。
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