新参の猫

長男が家に戻ってきた。

大学を中退してから暫く独り暮らしをしてきたのだか、この夏猫と一緒に戻ってきた。

入学当初から「ペット可」のアパートに住んで猫を飼い続けてきたのだが、一緒に戻ってきたのは小生が初めて見た雄の黒猫だった。

家にはカミサンの飼っている雑種の雌猫がいて暇な時にはかまってやるのだが、この黒猫との違いに改めて雌雄の違いを感じてしまった。
顔を撫でてやり、首筋を擦るようにかまってやるのだが雌猫の体は柔らかく猫特有の動きはこの柔らかな体が作るのだと思っていたのだ。

顔をこすりつけてくるのは猫の習性なのでこの新参者と家の雌猫との違いを感じなかったのだが、からだを撫でてやると筋肉が固く、首筋を撫でられるのが好きではないのか、すぐにすり抜けてゆく姿はなんだか精悍なのだ。

やはり猫らしい柔らかな動作をするのだがひとつひとつの動作は直線的でフットワークの軽さが猫らしい動きをさせているようなのだ。

この筋肉の固い黒猫は人の呼び掛けに反応して寄って来るのだが、先に居る雌猫はまず無視する。
飼い主のカミサンが呼んでも此方を向くだけでまず寄って来ない。
そのくせかまって欲しくなると小さく鳴いては人の居るすぐ先でゴロンと横になって触ってと誘うが、笹鳴きをして気持ちよさそうな仕草の次に夢から醒めたように離れてゆく。

お尻を振りながら歩くので女性のようだと思ってはいたが、黒猫の直線的な動きに対して動作すべてがカーブを描いているのが見えてきて雌雄の違いを今更ながら感じたのだ。
体格も大きい真っ黒な猫は初めて連れて来られた家の居心地が大層悪いようだが、先に雌猫が住んでいることを感じるらしく特定の場所では盛んに匂いを嗅ぐ。

猫にも雌雄があり、彼等はそんな違いにお互いが惹かれあって種を繋いできたのだと感じると個体と種の抜き差しならぬ関係をもう一匹の猫の登場で感じたのだった。

元からいた雌猫はというと、新参の猫を蹴散らす勢いで迫ったのだが脱兎のごとく家から退避すると追い出されたように家の周りで時間を過ごしては夜中にカミサンのところに戻っては、朝に出てゆくことになった。

カミサンは二階の二部屋に雄猫が入り込まないように締め切ってしまい、新参の猫はクーラーの無い小生の部屋の風通しを奪ってくれたのだ。
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