MODEL37の話④


パワーICは動作に無理を掛けずに音楽を奏でるように使えるかが鍵になりました。
まずコンデンサー容量を下げて動作確認します。極端に下げても動作するなら電解コンデンサーを使わずにすみます。
SVRR値が高く電源にリップル分があってもハム音として聴こえないことは重要なファクターです。
採用したパワーICアンプには10μFのフィルムコンデンサーを与えるだけで動作するので一気呵成にMODEL37の試作は進みました。

電解コンデンサーのない音質は一般的なオーディオメーカーのパワーアンプとは性質が違うものです。
オーディオメーカーのアンプしか知らない方には音色の違いさえも分からないようですが、音楽を聴いておられる方はその違いにとても驚かれます。

大きな重い電源トランスと大容量電解コンデンサーが良いアンプの土台だと誰が言い始めたのかわかりませんが、「足るを知る」ことなく際限の無い大電力や大容量を求めても得られるものは「凄い」だけで音楽的なものではない得体の知れないものになると思うのです。

オーディオではない仕事で3CX7000なる三極管のドライブ回路を作ったことがありますが、ヒーター電圧10ボルト、ヒーター電流50アンペア超、プレート電圧5000ボルトの真空管は「凄い!」ものでした。
20センチ以内にからだが近づくとスパークが飛んで感電して命を落とすという「凄い」もので真空管のセラミック本体が内側のヒーターに熱せられてオレンジ色に輝き、止まれば真空管が破損するという冷却用ファンからは熱風が出ました。

たとえオーディオに使って良い音が出たとしても音楽に身をゆだねるような聴き方は出来ないと思うのです。


MODEL37の話③


現在MODEL37に採用しているパワーICはメーカーアプリケーション通りに作ると実にダンピングの効いたエネルギッシュなサウンドを奏でますが、まさにサウンドであって音楽用途の音質ではありません。それでも他のものより落ち着いた佇まいがベースにあります。
入力インピーダンスが低くDCバイアス電圧が出てくるために入力コンデンサーが不可欠です。当初はFETによる前置回路でコンデンサーを省くようにしましたが、生体拒絶反応のようにまともに働きません。遂には壊してしまうのですが、異常動作に対するシャツトダウン回路のおかげでなかなか壊れないことを知りました。これはディスクリート回路では得難い美点です。
ディスクリート回路はひとつ無理なことをすると将棋倒しのようにすべて壊れます。

世の中のオーディオ機器では普及機にはICオペアンプを載せて、高級機にはディスクリート構成アンプを載せている事をアピールしていますが、ユーザー側の思い込みに乗っかった商法のような気がしてなりません。
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